抗がん剤治療が始まるまでの期間は、治療が始まってからの生活や副作用について不安を感じることが多いでしょう。まずはスケジュールを把握し、できるだけ治療に備えることが、不安解消のためにも望ましいといえます。
この記事では、抗がん剤治療前に準備した方がいいことを、大きく4つに分けて解説します。気持ちも落ち着かず大変な時期です。「完璧に準備しないと」と気負う必要はありませんので、できることから始めてみてください。
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まずは抗がん剤治療への理解を深めましょう
抗がん剤治療の準備をするうえでは、まずは自分自身が治療への理解を深めることが大切です。抗がん剤治療は単発ではなく、長期的に取り組むものです。治療のスケジュールや主な副作用などについて理解しておくことは、家族や職場と情報共有する際にも役立ちます。
また、現在の病状とそれに対する治療の目的を理解すると、納得して治療を受けられるようになります。疑問点や不安な点は医師や看護師に必ず確認し、心の準備をしましょう。
抗がん剤治療の主な副作用については以下のとおりです。いずれも個人差があります。
・1週間以内に始まる副作用:吐き気、アレルギー反応、不整脈、便秘、筋肉・関節痛、食欲不振など
・1~3週間頃に始まる副作用:口内炎、下痢、倦怠感、脱毛、手足のしびれ、耳鳴りなど
多くの人が気になりがちな脱毛症状については、以下の記事で原因や対処法を詳しく解説しています。気になる方は、こちらもご覧ください。
抗がん剤治療の脱毛はいつから始まる?その理由と頭皮ケアについて
また、各種症状とその対策については「国立がん研究センター 東病院」の下記ページも参考にしてください。
国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院「主な抗がん剤の副作用とその対策」
(※上記外部リンク)
抗がん剤治療の準備(1)生活の調整
抗がん剤治療を受ける準備として、日常生活における調整が必要となります。ここでは、一人暮らしの場合・同居家族がいる場合のケース別に紹介します。
一人暮らしの場合
一人暮らしの場合は、自分に何かあった際に頼れる人を決めておきましょう。
また、一人で過ごす時間が長いために、病気のことについてつい一人で抱え込んでしまう方もいるかもしれません。遠方に住む家族や、話を聞いてくれる友人と連絡を取れるようにしておくと、気持ちの面でも安心できるでしょう。
もし周囲に相談できる人がいない場合は、病院のがん相談支援センターや、病院に紹介してもらえる治療中の方向けのコミュニティを利用するのもひとつの方法です。
万が一、激しく気分が落ち込むようなことがあった場合は、メンタルクリニックや精神腫瘍科(がん専門の精神科)などの専門医にも頼れますので、受診を検討してください。
同居家族がいる場合
抗がん剤治療は繰り返し長期で行うもので、治療方法によってスケジュールも変わってきます。抗がん剤治療のスケジュールや副作用などについて、家族に理解しておいてもらうことで、本人も家族も冷静に対応しやすくなります。併せて、通院・入院の際に家族に頼みたいことを伝えておくことも必要です。
また、治療中は体調を崩すことも想定されます。家族に協力してもらい、心身に負担がかからないよう家庭内の役割分担を見直しましょう。自分が思うように動けなくなってから「もっと家族に家事などを教えておけば良かった」と思うケースも多いようです。
治療期間中の子どもの世話や親の介護などを依頼する場合は、依頼する方への連絡も早めに済ませておきます。もし、子どもの世話や親の介護について頼れる人がいない場合は、がん相談支援センターに相談してみましょう。
支援センターは以下から検索できます。病院にかかっていなくても利用できますので、近所を中心に探してみてください。
国立研究開発法人 国立がん研究センター「がん情報サービス がん診療連携拠点病院などを探す」
(※上記外部リンク)
抗がん剤治療の準備(2)仕事の調整
仕事をされている方は、仕事の調整も必要です。通院治療される方は休暇の取得、手術などで入院が必要な場合は引き継ぎも検討しましょう。
仕事については、治療の内容や体調の状態、そもそもの業務内容(力仕事なのかデスクワークなのか)などによるため、個人差があります。一人で調整するのが難しいと感じる方は、担当医や病院の相談室などに相談してみましょう。
病名を周囲に公表したくないという方は、職場への報告をためらわれることもあるかもしれません。原則として、職場への具体的な病名の報告は義務ではありませんので、がんの罹患や治療内容を報告するかどうかは、個人の都合で判断できます。詳細を報告せずとも有給を取って通院することはできますし、具体的な病名は報告しないまま体調を理由に異動を求めても問題ありません。
脱毛の副作用により見た目が変わり、周囲に知られることを懸念している方は、ウィッグ等の外見ケアアイテムの利用を検討しましょう。
抗がん剤治療の準備(3)脱毛への備え
前述のとおり、抗がん剤治療では副作用で脱毛が起こります。よりスムーズに日常生活を送るためには備えが必要です。
ここでは具体的な脱毛への準備の内容を解説します。
顔写真を撮る
抗がん剤治療前の顔写真を前後左右から撮っておきましょう。写真があれば、治療前に医療用ウィッグを作れなかった場合や、ウィッグを元の髪型にカットする際に役立ちます。
また、治療中は脱毛により眉毛が薄くなることもあります。写真を撮っておけば、メイクをする際の参考になるでしょう。
地毛をカットする
髪が長めの方は、治療が始まる前に髪を短くカットしておくのがおすすめです。カットしておいたほうが良い理由は3点あります。
まず1点目は、髪が長いことで、寝ている間に抜けた髪の毛と抜けていない髪の毛が絡まってしまうためです。髪が長いと、髪の毛同士が絡まって固まってしまい、自分ではほどけなくなってしまいます。こうなると美容院でのカットが必要なることも考えられるため、あらかじめ短くしておくのがおすすめです。
2点目は、あらかじめ地毛をカットしておくことで、治療中の抜け毛のボリュームが減るためです。シャンプー時などの抜け毛の量が減ることにより、精神的なダメージが軽減されます。
3点目は、髪の毛のケアにかかる労力を減らせるためです。抗がん剤治療中は体力が低下しやすく、毎日のシャンプーやドライヤーに時間がかかると負担になります。ショートカットにすることによって、体力的にも楽になるでしょう。
医療用ウィッグを購入する
抗がん剤治療中に医療用ウィッグを着用すると、脱毛部分をカバーして抗がん剤治療前の見た目をキープできます。医療用ウィッグを購入する際は、試着ができるものを選びましょう。また、脱毛の範囲や症状の進行が人それぞれで異なるので、毛量に合わせてサイズを調節できるものにすることもポイントです。
医療用ウィッグのほかには、帽子やバンダナ、スカーフなども役立ちます。自分のライフスタイルに合うものを準備しておきましょう。
脱毛の症状は、一般的に治療を始めてから2週間ほどで見られるようになります。あらかじめそれまでに準備しておけば、症状が出た場合にも慌てずに対応できるでしょう。
医療用ウィッグの選び方や購入のタイミングについての詳細は、以下の関連記事もご覧ください。
抗がん剤治療中に着けるウィッグの選び方|購入のタイミングは?
抗がん剤治療の準備(4)体調管理
抗がん剤治療前は、体調を崩さないことが重要です。睡眠時間を確保する、適度な運動(散歩や軽いストレッチなど)をする、便秘予防のために食生活を改善する、飲酒やタバコは控えるなどを意識して、体調を管理していきましょう。
また、治療中は副作用で体の抵抗力が弱くなる時期があります。そのため、感染症予防をあらかじめ意識づけておくことが大切です。
具体的には、以下のような日々の感染予防をしっかりと行っていきましょう。
- 手洗い
- うがい
- 歯みがき
持病がある方は、治療を受ける病院の指示に従い、しっかりと管理することが必要です。高血圧や糖尿病などがある場合は、コントロールできていないと治療に支障をきたす場合があります。処方された薬の飲み忘れなどがないように、注意してください。
治療により体の抵抗力が落ちると、虫歯や歯周病が感染の原因になることがあります。必要に応じて、歯科医院での治療を受けたり、口腔ケアの方法を習得したりしておきましょう。
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