抗がん剤治療を受けると、副作用で脱毛が起こることがあります。今後に治療を控えている方は、どのような仕組みで脱毛が起こるのか、変化が生じたときどのように対策をすればよいのか、お悩みではないでしょうか。この記事では、そんな治療について理解するために、「ヘアサイクル」について解説していきます。
脱毛や発毛に関係するヘアサイクルの基礎知識や、抗がん剤治療で脱毛する理由についてお伝えするため、ぜひ参考にしてみてください。
CONTENTS
ヘアサイクルの基礎知識
髪の脱毛や発毛は、どのような仕組みで起こっているのでしょうか。毛髪の生え変わりを理解するには、「ヘアサイクル」について押さえておく必要があります。まずは、ヘアサイクルの基礎知識をお伝えします。
ヘアサイクルとは?
髪には、成長する期間があります。一度生えた髪の毛は、成長してから自然と抜け落ち、再び同じ毛穴から新たに生える仕組みです。このように、毛髪が生えて抜けた後、再び生えてくる周期のことを「ヘアサイクル」または「毛周期」と呼びます。ヘアサイクルは「成長期」「退行期」「休止期」という3つの期間に大きく分けられます。それぞれの時期の特徴について、詳しくは次の見出しで解説していきます。
ヘアサイクルの流れ
ここでは、ヘアサイクルの流れを解説します。髪の毛は、以下の流れで「成長期」「退行期」「休止期」の段階を経て、再び成長期へと移行します。
1.成長期
新しい毛髪が生えて成長する時期です。毛乳頭が活発に活動し、毛母細胞が分裂し始めます。毛乳頭は、血液中の栄養を受け取り、毛母細胞へと供給する役割を持ちます。毛母細胞とは、毛乳頭の周りにあり、毛髪を作り出す細胞です。成長期は2~6年にわたり続きます。
2.退行期
生えている髪の毛の成長がしだいに止まり始める時期です。毛乳頭から毛母細胞が離れ、栄養が供給されにくくなり、毛包が退縮していきます。毛包とは、毛乳頭と毛母細胞を包んでいる部分で、毛髪の成長とともに大きくなります。退行期は2週間程度で、この段階を経て成長期から休止期へと入ります。
3.休止期
休止期は、髪の毛の成長が完全に止まり、抜けやすくなる時期です。すでに毛包が退縮し切っているため、シャンプーやブラッシングのような軽い刺激でも毛髪が抜け落ちることがあります。休止期は約3カ月にわたり続きます。毛乳頭の活動が再び活発になると、新しい毛が生えて、成長期となります。
正常なヘアサイクルの特徴
あくまで頭皮の状態による個人差がありますが、日本人女性の場合、ヘアサイクルは平均3~7年で1つのサイクルを繰り返しているといわれます。日本人の頭髪の本数は約10万本とされており、正常なヘアサイクルでは全体の約85~90%が成長期です。そのほかは、残りの約1%が退行期、約10~20%が休止期となっています。正常なヘアサイクルが繰り返されている場合、太い髪が十分な長さに成長することで、全体的にボリュームが保たれた状態となります。
ヘアサイクルが乱れるとどうなる?
ヘアサイクルが乱れると、どのようなことが起こるのでしょうか。また、どのような原因で乱れが生じてしまうのでしょうか。健康な髪の毛を保つために大切な基本をお伝えします。
ヘアサイクルの乱れが毛髪に与える影響
ヘアサイクルが乱れると、成長期の期間が短くなり、多くの毛髪が十分に成長しない状態で脱毛してしまうおそれがあります。短い髪の毛が増え、さらには毛包が小さくなることで、太い髪が育ちにくくなるのが難点です。こうして短くて細い毛が増えて、薄毛の部分が多くなると、全体的にボリュームが少なく見えたり、地肌が透けてしまったりする影響が懸念されます。
ヘアサイクルが乱れる主な原因
ヘアサイクルの乱れにつながる原因として、睡眠不足や喫煙といった生活習慣の乱れが挙げられます。睡眠には1日の疲れを回復させるだけでなく、髪の毛を作るために必要な成長ホルモンを分泌させる役割もあります。十分な睡眠時間を確保するとともに、日々の生活リズムを整えて、良質な睡眠をとれるよう意識しましょう。また、タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があり、喫煙によって血行が悪くなることがわかっています。髪の毛の成長にかかわる毛母細胞にも影響を与えると考えられているので、健康的なヘアサイクルのためには禁煙が好ましいでしょう。
このほかに、栄養の偏った食生活や、ストレス、加齢などの要因にも注意が必要です。日々の食事が栄養不足な傾向にあると、髪の毛を作るために必要なタンパク質やビタミンなどが不足してしまうことも。また、強いストレスを受けると、交感神経が優位になり、血管が収縮してしまいます。ヘアサイクルの乱れは、こうした複数の要因が関係して生じることも珍しくありません。健康維持はもちろん、ヘアケアの観点からも、ご自身のライフスタイルを見直してみるようおすすめします。
抗がん剤治療で脱毛する理由
抗がん剤治療(化学療法)を受けると、多くの人に脱毛が起こります。今後に治療を控えていて、抜け毛の心配でお悩みの方も多いでしょう。最後に、抗がん剤治療による脱毛について解説します。
毛母細胞が影響を受ける
抗がん剤治療の副作用で脱毛することがあるのは、毛母細胞がダメージを受けるためと考えられています。抗がん剤は、細胞分裂を抑制する仕組みとなっており、分裂が活発な細胞に影響しやすい薬です。そのため、髪の毛の成長にかかわる細胞が影響を受けて、脱毛が起こる可能性があるのです。放射線療法も同様といえます。一般的に、治療後は約1~3週間で髪の毛が抜け始めるといわれます。
頭髪は約85~90%が成長期にある
ヘアサイクルの各段階のなかでも、成長期にある髪の毛は全体の約85~90%であるとお伝えしました。これらの髪の毛は、細胞分裂が活発であることから、抗がん剤の影響を受けやすくなっています。このような理由から、大部分の髪の毛が比較的早い時期に脱毛する傾向にあるのです。なお、毛周期は体の部位によって異なります。たとえば、腕や足の毛の成長期は3~4カ月といわれ、髪の毛と比べてヘアサイクルが短くなっています。
ヘアサイクルの特徴を押さえて治療に備えておきましょう
今回は、ヘアサイクルの基礎知識や抗がん剤治療で脱毛する理由についてお伝えしました。ヘアサイクルには「成長期」「退行期」「休止期」の3つの期間があり、正常な頭皮においても脱毛と発毛が繰り返されています。大部分の髪の毛が太く長く成長を続けることによって、全体のボリュームが保たれている状態です。しかし、抗がん剤治療によって細胞分裂が抑制されると、髪の成長にかかわる細胞が影響を受けて、一般的に治療後1~3週間で脱毛が始まります。これから化学療法を受ける方は、治療前にヘアサイクルの仕組みを押さえておきましょう。
抗がん剤治療による脱毛の対策として、「医療用ウィッグ」を着用する方法があります。医療用ウィッグとは、治療にともなう脱毛をカバーし、おしゃれなヘアスタイルを楽しめるウィッグです。製品は日常的な着用のために作られているため、生え際や頭頂部まで自然な見た目に仕上がるのが特徴で、気になるヘアスタイルの改善につながります。また、通気性や軽さなどにこだわり、着け心地が快適なのもポイントです。
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