
【看護師監修】がん治療中は冷えやすい?寒さを乗り切るぽかぽか温活習慣
寒さが本格的になる時期、冷えは体調を崩す原因になりがちです。とくにがん治療中の場合、身体の冷えを感じやすいため、冬の過ごし方には工夫が必要です。
今回は、身体を温めるメリットやお家で手軽にできる温活習慣についてもご紹介します。
がん治療中に冷えやすくなる3つの理由
身体の冷えは、手足など末端の血管が収縮し血流が不足することで起こります。
1.代謝の低下や血行不良

がん治療中は、抗がん剤が身体の代謝に影響を及ぼします。
代謝が低下すると体内で熱が作られにくくなるため、冷えを感じやすくなる傾向があります。また、抗がん剤の副作用によって貧血が起こる場合があります。貧血になると赤血球の酸素運搬能力が低下し、全身への酸素供給が不足するため、とくに手足が冷えやすくなります。
2.運動量の減少

がん治療中は疲れやだるさが強くなり、活動量が減りがちです。
治療中の活動量は、診断前の10%程度とも言われています。運動不足になると筋肉を使う機会が減るため、筋肉による熱産生が低下します。体全体が温まらなくなることで、冷えやすくなります。
3.精神的なストレス

がん治療中は、副作用への不安や今後の生活への心配など、精神的なストレスも大きくなります。
ストレスは自律神経のバランスを乱すため、血管が収縮しやすく血流も抑制され、冷えを感じやすくなります。また、ストレスによって睡眠の質が低下した場合も、自律神経が乱れることがあります。
身体を温める3つのメリット
身体を温めるメリットについて見ていきましょう。
1.免疫力がアップする

体温が上がると、免疫細胞の働きが活発になります。
体温が1℃上がると、ウイルスや細菌と戦う力が強くなると言われています。風邪やインフルエンザなどの感染症を予防するためにも、温活で身体を温める工夫が大切です。
2.疲労が回復する

身体を温めると血行が良くなるため、必要な酸素や栄養素が筋肉に届き、疲労物質が排出されやすくなります。
副交感神経を刺激する温浴や軽い運動など、リラックスできる温活を取り入れることで、疲れが和らぐでしょう。
3.睡眠の質が向上する

身体を温めると、睡眠の質を高める効果が期待できます。
質のいい睡眠をとるためには、深部体温を下げる必要があります。手足が温まると放熱が促され、深部体温が自然に下がるのでスムーズに眠りにつくことができ、良眠につながります。
お家で手軽にできる3つの温活習慣
寒い冬に、お家のなかで手軽に始められる温活習慣をご紹介します。
1.しょうが紅茶やハーブティでリラックスタイム

ゆっくりと温かい飲み物を飲み、体を内側から温めましょう。
とくに、しょうが紅茶は冷えの改善に効果があります。しょうがに含まれる「ショウガオール」という成分が血行を促し、冷えやすい手足にも血液を届けてくれます。ただし、紅茶には少量のカフェインが含まれているため、カフェインに敏感な方や睡眠導入剤を服用している方は、就寝前の摂取は控えた方が良いでしょう。
また、シナモンティーは、体を温めるハーブティーとして知られています。シナモンには血管を拡張し、血流を改善する作用があります。ハーブティーはリラックス効果もあるため、気分転換にも最適です。
現在お薬を服用中の方は、飲み物との飲み合わせにも注意しましょう。
2.軽いエクササイズやストレッチで体を動かす

運動すると筋肉が動くためエネルギーが燃焼し、体温が上がります。
血液の循環も良くなるため、冷えを感じやすい手足も温まりやすくなります。エクササイズやストレッチなど、軽い運動を生活に取り入れてみましょう。
国立がん研究センターでも、がん患者さんのためのエクササイズ動画をWEB上で公開しています。ただし、体調が優れないときは、無理せず休むことも大切です。術後の方は医師に判断を仰いでから運動を始めましょう。
また、ソファでくつろぎながらできる足指マッサージの方法は「【後編】抗がん剤副作用のしびれ対策にも! ラクに歩く足ケア&ゆるトレ」でご紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
3.半身浴や足湯で身体の芯から温まる

半身浴は全身浴よりも水圧がかからないため、身体への負担が少ない入浴方法です。
温かくなった血が全身を巡るため、身体の芯からぽかぽか温まり、湯冷めもしにくくなります。37〜39℃程度のぬるめのお湯にゆっくりと浸かりましょう。寒い時期はヒートショックを避けるため、先に浴室を温めておくなど工夫してみてください。
また、足湯は冷えが解消されるだけでなく、足やふくらはぎにたまった疲労や緊張もほぐしてくれます。42〜43℃のお湯を洗面器などに入れ、手足をつけてみてください。血液は1分以内に全身を巡ると言われており、足湯の際に身体に毛布を掛けておくとじんわりと温まってきます。お気に入りのアロマオイルを数滴垂らせば、気分もリフレッシュできるでしょう。
いかがでしたか?
寒さが一段と厳しい冬でも、自分に合った温活習慣を取り入れることで快適に過ごせます。毎日の生活の中でこころも身体も暖かさを感じられるよう過ごしていただけることを願っています。

<こちらの記事もおすすめ>
【看護師監修】寒くなるとこころも落ち込む?秋冬のこころのケア
【医師監修】抗がん剤治療中におきやすい、むくみの原因と対処法