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【看護師監修】新生活、こころに疲れが溜まり始めたSOSサイン

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春は新生活が始まる季節です。がん治療中の方は、この春から仕事復帰された方もいるのではないでしょうか。新しい環境では想像とは違う現実に直面し、疲れやストレスを感じることも少なくありません。今回はこころのSOSサインに気づき、心穏やかに過ごすためのヒントをご紹介します。

新しい環境に馴染めず、疎外感を感じる場合の対処法

社会人生活において、職場で「既にできあがっているグループの輪に入りにくい」「上司や同僚に話しかけるタイミングがわからない」といった悩みはつきもの。
さらに、がん治療中の場合は「新しい上司や同僚に病気のことを言いにくい」と感じることで疎外感を抱えがちです。

女性二人が笑いながら歩く様子

●相手の名前を呼ぶ
たとえば「〇〇さん、お疲れさまです」と声をかけてみてください。人は名前を呼んでもらうと自分が特別な存在として扱われていると感じます。前向きな感情が生まれ、オープンな関係が築けるきっかけになるでしょう。

ラムネ

●おやつを差し入れる
仕事中におやつを差し入れるのもよい方法です。自然と会話もはずみ、仕事モードから一時的に解放されて、リラックスした雰囲気が生まれます。「おすそ分けする」という思いやりの表現が、コミュニケーションを円滑にする役割を果たします。

手でハートを作る

●自分のペースを大切にする
新しい職場環境では、焦らずに自分のペースを守ることが重要です。
がん治療中であることを伝える際は、まず信頼関係を築き、理解を得られそうな人から徐々に伝えていくとよいでしょう。

笑顔の女性

また、環境の変化とともに上司が変わった場合は、前の上司から新しい上司への引継ぎを依頼するという方法もあります。上司に自分から面談の機会を申し込んでみるのも方法のひとつです。積極的にコミュニケーションをとり信頼関係を築いていくことが、新しい環境での疎外感を解消する鍵となります。

風船

そして、かならずしも病状を職場に報告しなければならない、という義務はありません。仕事を休む必要があったり、業務を代わってもらう必要があるなど、配慮が必要な場合のみ伝える、という方法もあります。

苦手な人がいる場合の対処法

がん治療中は体調にも波があるため、苦手意識のある同僚との関わり方に悩むこともあるでしょう。自分のペースを守りながら、苦手な人と向き合うためのコツを紹介します。

メジャー

●できるだけ距離を置く
苦手な人とは、可能な限り距離を置いて接することが肝心です。特に職場では、業務上必要な最低限のコミュニケーションに留めることで、こころの負担を軽減できます。相手との距離を保つことで苦手意識がやわらぎ、余裕を持てるようになるでしょう。

夕日と女性

●他人を変えようとしない
他人を変えることは、容易ではありません。それよりも、自分自身の受け止め方を変えてみましょう。相手の行動に一喜一憂するよりも自分のこころの安定を優先させ、苦手意識への執着心を手放すことで、自分のこころもラクになります。

虫眼鏡を持つ女性

●相手を客観的に観察する
苦手な人とつき合うためには、相手を客観的に見ることがポイントです。「こういうタイプの人なんだな」と冷静に観察してみてください。苦手な部分に囚われていた感情がやわらぎ、苦手な人だと意識せず関われるようになるでしょう。

いつもとちがう、こんなとき。こころのSOSかも?

仕事や新しい人間関係のストレスが積み重なり、知らず知らずのうちに心と体は疲れを溜め込んでいきます。こころのSOSサインは、睡眠や食欲・体調・行動の変化として現れることも。

こころのSOSチェック

普段と違う自分に気づいたときは、一人で抱え込まないようにしましょう。こころがSOSサインを発していると考えて、誰かに相談してみることが大切です。

SOSを感じたら、専門家に相談してみよう

がん治療中にSOSのサインを感じたら、周囲にサポートを求めましょう。

●心療内科と精神科、どちらに行けばいい?
心療内科は、こころの問題が身体的な症状を引き起こしている場合をおもに治療します。たとえば、過度のストレスによる胃痛や頭痛などです。一方、精神科は統合失調症やうつ病などの精神疾患を専門とします。

診断の様子

がん治療中の場合、まずはがん治療の主治医に相談することをおすすめします。主治医は症状ががん自体や抗がん剤治療によるものか、他のストレスなどによるものかを評価できるからです。必要に応じて、精神腫瘍科や心療内科、精神科などの専門家を紹介してくれるでしょう。

何かを考えている様子の女性

自分で病院を探す場合は、医師の専門分野を調べてから来院しましょう。多くの医療機関は自院のWebサイトに専門分野や経験などを掲載しているため、がん患者への対応経験があるかどうかを知ることも可能です。

●精神病院は行きづらい、と感じる方へ
こころの健康も、身体と同じくらい重要だという認識を持ちましょう。たとえば、インフルエンザに罹患したとき受診するのと同じように、こころがSOSを感じているとき専門家のサポートを求めるのは自然なことです。

ティータイムを過ごす様子

また、家族や周りの人が受診を勧めても、患者さん本人に抵抗がある場合もあります。
そんなときは「専門家が話を聞いて、こころの負担を軽くするお手伝いをするだけ」など、あくまでも深刻なことではなく、気軽な雰囲気であることを説明してもよいかもしれません。

いかがでしたか?
新生活がスタートする時期。いつもと違う自分を感じたら、早めに相談してみましょう。専門家のサポートを受けることで、不安やストレスがやわらぐこともあります。新しい環境に適応しながら、自分のペースで無理なく過ごすことが大切です。

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