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がん治療はどうだった?体験者のリアルボイス 水田さん(前編)

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がんを経験された患者さんに、病気がわかったきっかけや感じたことなどをお聞きするこちらのシリーズ。今回ご登場いただくのはご自身の体験をもとに、医療用ストッキングブランド『MAEÉ』を立ち上げた水田さん。プライベートも仕事もこれから、という時期にどのように向き合ってきたのかを明るく、ポジティブに話してくださいました。AYA (アヤ)世代※の方にもぜひ読んでいただきたい記事です!
※一般的に15歳〜30歳代までの年齢層、がん医療において用いられます。

プロフィール
水田さん(41歳) 東京都
〔家族構成〕両親、兄
〔がんの部位〕子宮頸がん
〔取材時の状況〕手術→抗がん剤→経過観察中

不正出血があったものの異常なし、その後大きな病院で…

私の場合は自覚症状がありました。というのも、軽い不正出血が続いていたんです。
当時は29歳で、仕事も私生活も楽しい時期。化粧品会社に新卒で入って商品企画の仕事をしていたんですけど、自分がメインで担当することも増え、いわゆる働き盛りでした。

よく働き、よく遊び、身体のことを顧みることにあまり意識が向いてなかったですね。
不正出血も実はそれほど気にしてなかったんですけど、当時のパートナーが絶対診てもらった方がいいよと言ってくれて。そっかーと思ってレディースクリニックへ行き、子宮がんの検査をしました。そのときは異常なしとの診断でした。ただ出血の原因がクリニックでは分からなかったので、念のため大学病院で同じ検査を受け直しました。

水田さん

一週間後に検査結果が分かるので来てくださいと言われたんですけど、ちょうどゴールデンウィークで。その連休中に外出したとき、大出血をしてしまいました。1時間ぐらいトイレから出られないぐらいの出血で、これは何もないってことはないんだろうなって。そのとき初めて危機を感じました。

ネットで検索してみると、症状からみてどうやら子宮頸がんらしい。子宮頸がんには「前がん状態」というがんになる手前の状態があるらしいから、それかなと思いました。同じような症状の人のブログをいっぱい見て、ある程度心構えはしていました。
ただ告知を受けた時には「前がん状態」は通り越してがん化していて、治療を急いだ方がいいと言われて…心構えはしていたけど、はるかに悪い状態で見つかったことはショックでした。

スマートフォンを見る様子

これまでも子宮がんの検査とか検診を受けたことがあったんですけど、検査も100%ではなく、見つからない場合もあるみたいですね。私の場合、深いところにできる種類のがんだったという理由もあったのかもしれません。

治療中の副作用は予習で対処

告知を受けた病院で早く治療を始めた方がいいと言われたのですが、当時は結婚もしてなかったので、妊孕性(にんようせい)を温存したくて…子どもを将来産める可能性がなんとか残せないかと、いろいろ調べました。

頸部だけを手術で取って、子宮は残すという手術がちょうど出てきた年だったんですけど、当時それができる病院は1つしかなくて、セカンドオピニオンを受けました。結局私の場合は適応外だったんですけど、セカオピ先の病院の方が治療が早くスタートできるということだったので、そのまま転院しました。告知を受けた翌週にはセカオピに行って、その翌週には入院…というスピード感でしたね。

医師

私の場合は手術をして、その後に再発予防の抗がん剤治療という流れでした。
抗がん剤治療中の副作用は事前に予習ができていたので「あ、来たな」という感じ。脱毛、味覚変化、しびれ、倦怠感…ひと通り全部体験しました。3週間ごとに6回抗がん剤を投与したんですけど、投与後1週間ぐらいは症状がありましたね。なんかだるいな、味が変だな、指先がピリピリするな、みたいな。脱毛は事前に言われていた通り、投与して2週間後ぐらいからきっちり抜け始めたので逆にすごいなと思いました。

カレンダーと時計

髪が抜けるのはショックです。でも、髪はまた生えてくるから。そこはなんとか我慢するので体調に強く出ないといいなと祈ってました。外見が変化していくことについては、美容の仕事をずっとしてたので「見た目」や「装うこと」が心に与える影響はひと一倍知っていました。なのでめちゃくちゃ満足できるウィッグを準備するぞ!って思いましたね(笑)。

鏡

そんなわけで副作用はありましたが、なんとか対処できました。むしろ私が大変だったのは治療後の後遺症です。いまも続いているんですけど、リンパ浮腫ですね。手術の影響で脚が浮腫む、腫れる、ひどい場合は赤みが出て、炎症を起こしたりします。私の場合は痛みはなくて重だるい感じ。あと肌が張って硬くなったり、疲れやすい感じだったり。その後遺症の大変さが、後になってジワジワきました。

水田さんがリンパ浮腫の経験をもとに開発した「コンプレッションストッキング」はこちら 

1日にLINE200通?! 同世代の入院友達

私が入院した病院は、手術前にレクチャーを受けるんです。こういう副作用が出る可能性がありますよとか、リンパドレナージ(滞ったリンパ液を排出し、むくみを和らげるマッサージ方法)のビデオを見て練習したりとか。同じ時期に手術を受ける人たちが会議室に集まってレクチャーを受けるんですけど、私ともう一人、同世代の女子がいて入院初日にお友達になりました!

水田さん

その子と1日200通ぐらいLINEしてたかな(笑)。「術後の傷どんな感じになってる?」「(パシャっと写真撮って)私こんな感じ!」みたいな。それから「仕事どうしてる?」とか「職場にどういう風に言ってる?」とか「この先彼氏とかできるのかな?」とか(笑)病気のこと、仕事のこと、この先の生活のこと…同世代ということもあり、本当にいろんなことを話しましたね。

そういう意味では私、すごく周囲の人に恵まれていると思います。病気が分かった頃にシェアハウスで一緒に暮らしていた親友2人も、病院行きなよって言ってくれたパートナーも、職場の方々も、実家の家族も…がんを告げたときの反応とか、サポートが本当に温かくて。すごく落ち込んだり大変だった時期もあったんですけど、まわりの支えで病気に向き合えたなって思います。

この記事は3本立ての予定です。次回の更新をお待ちください!
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