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がん治療だけでなく、普段の生活でも欠かせない医薬品。薬局で処方されたお薬と、同じ名前の商品をドラッグストアで見つけて不思議に思ったり、お薬を服用しても効果があらわれず、自己判断で医師の指示以上の量を飲んだことはありませんか?
現役薬剤師が、薬局で患者さんによく聞かれる「お薬についてのギモン」を解説します。
薬局で「市販と同じ名前の薬」を処方されるのはなぜ?どう違うの?
医療用医薬品の中でも、長期間にわたって安全性が確認された一部の医薬品に関しては、市販薬に転用(スイッチ)され「スイッチOTC医薬品」として販売されています。かぜ薬や胃腸薬、鼻炎用内服薬などがあり、普段の生活のなかで起こりやすい軽い不調は「スイッチOTC医薬品」で解消できる場合があります。
用法や副作用に注意が必要なものについては、店頭で薬剤師の説明を受ける必要がありますが、医療機関へ受診せずに医療用医薬品と同じ薬が購入できるので、病院を受診する時間がない方に便利です。
また、病院の診察代や薬局のお薬代を加味すると、健康保険の負担割合や処方内容によっては、1〜2週間程度の服用で解消する症状なら「スイッチOTC医薬品」を購入した方が安い場合もあります。
しかし、「スイッチOTC医薬品」を使用しても症状が治らない場合は、重大な病気の可能性もあるので注意が必要です。「スイッチOTC医薬品」の説明書に記載のある、医療機関への受診目安を確認しましょう。
飲み忘れたので、2回まとめて飲んでもいい?
がん治療に関わらず、風邪薬など食前・食後など服用のタイミングが決まっているお薬はうっかり飲み忘れてしまうことがあります。
お薬を2回分まとめて飲むと副作用のリスクが高くなるのでやめましょう。
1日1回服用するお薬については、前回の服用から8時間以上あいていれば、気づいた時に服用しても問題ありません。
1日2回~3回服用するお薬については、飲み忘れた場合、次の服用時間に飲みましょう。
食前や食後、起床時など薬によって飲むタイミングが異なるのは、食事によってお薬の効果が変化するのを防ぐためです。
たとえば、血糖値を改善するための医療用医薬品「ボグリボース」などは、食前でなければ効果がほとんどありません。服用タイミングを厳密に守らないと効果が出ないお薬も存在するので、薬剤師に確認しましょう。
お薬の飲み忘れが多い場合は、服用時間ごとにまとめる一包化やお薬カレンダーの使用、服用回数の少ない医薬品への変更など対応を検討しましょう。医師や薬剤師に相談してみてください。
飲みにくい錠剤は、潰したり砕いてもいい?
医薬品の中には、潰したり、砕いたりすることで薬の成分が一気に溶け出したり、効果がなくなったりするものが存在します。お薬が一気に溶け出すことで思わぬ副作用が出る可能性もあります。自己判断で粉砕するのはやめた方が良いでしょう。
お薬が飲みにくい場合は、医師や薬剤師に相談することで、錠剤を粉砕してもらったり、粉砕できる医薬品へ変更できます。
お薬をたくさん飲めば効果も高まる?
体内が許容できるお薬の量には限りがあり、医師から指示された量以上に飲んでも効果が高まることはありません。それどころか副作用のリスクを高めるので、指示された量以上に服用するのはやめましょう。
決められた数量を服用することが重要ですが、不安な場合はどのくらい服用してもいいのか、相談してみると良いでしょう。
未開封の処方薬、消費期限はある?
PTP包装に入っている薬なら1〜2年ほど期限があると考えられますが、基本的に処方日数内に使用されることを前提として、薬局はお薬を処方しています。
未開封のお薬がたくさんあまっている場合は、お薬をもらった薬局に相談すると、使える薬を仕分けてもらうこともできます。また、定期的にもらっているお薬は、あまっている分を加味した調剤数に調整してもらえます。
自宅にあまっている処方薬は薬局で買い取ることはできませんが、このように調整することで、結果的にお薬代を安くすることもできます。
あまったお薬はこうして有効に活用することもできますので、薬局に相談してみましょう。
インターネットで「がんに効く薬」が販売されていたけれど、買ってもいい?
医療機関で処方される抗がん剤以外で、「がんに効く」と謳って医薬品などを販売することは、医薬品や医薬品の有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)に違反している可能性があります。
違法ということは詐欺商品である可能性が非常に高いので、絶対に買わないでください。また、薬や健康食品、サプリメントによっては、がんの標準治療を邪魔して効果を薄めてしまう可能性もあるので、購入する前に医師や薬剤師に相談することが大切です。
いかがでしたか?
今回は薬局でよく患者さんから聞かれるギモンを解説しました。医師の指示に従って、正しく薬と付き合っていきましょう。
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