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【薬剤師監修】がんになると眠れない?睡眠薬を使うときの注意点

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いよいよ夏がやってきました。質のいい睡眠には太陽の光を浴びることが肝要ですが、力強い日差しや気温の高さは身体に堪えますよね。
がん患者さんによくあるお悩みとして「寝つきが悪くなった」「よく眠れずスッキリしない」というものがあります。今回は病気と不眠の関係、そして睡眠を助けてくれる睡眠薬について解説します。

がんになると眠れなくなる?

睡眠は心身の疲れを癒し、体調を整えるためには必要不可欠なもの。しかし、こころに大きなストレスが加わると、うまく眠れなくなることがあります。特にがんの告知を受けることは、人生のなかでも1、2を争うショッキングな出来事。実際にがん患者の20〜50%が不眠を経験するとも言われ、眠れなくなるというのは珍しくありません。

睡眠

がんと不眠の関係は、ストレス以外にも、抗がん剤の副作用やがんによる痛み、通院や人間関係などの環境の変化…様々な原因が存在します。
眠れない状態が続くと、日中のだるさや集中力の低下といった身体の不調や、ひどい場合はうつなどの精神疾患にもつながる可能性があります。

眠れない日々が1ヶ月以上続く場合や、眠気で日中の生活に支障があるときは、睡眠薬で対応することも検討しましょう。

睡眠薬のメリットとデメリット

睡眠薬は睡眠導入剤とも言われ、眠気を誘発して不眠状態を改善するために服用するお薬です。現在、主に使われている睡眠薬として「ベンゾジアゼピン系」「オレキシン受容体拮抗薬」「メラトニン受容体作動薬」があります。

睡眠薬

ベンゾジアゼピン系のお薬は、脳の興奮を抑えて眠くさせるお薬ですが「脳のスイッチを切るようなイメージ」で眠くなります。強い不眠状態には効果的ですが、ふらつきなどの副作用に注意が必要です。

睡眠

オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬は「本来感じる眠気を強くする睡眠薬」であり、自然な眠りに近い状態で入眠できる特徴があります。ベンゾジアゼピン系に比べると副作用は少ないですが、人によっては効果を感じにくいこともあります。

次に、睡眠薬を使うメリットとデメリットを解説します。

●メリット

睡眠薬のメリット

睡眠不足の状態が続くと、日中の集中力が低下したり、イライラしやすくなったりします。仕事や人間関係など、日常生活に影響する可能性もあるので、がんの治療を継続するためにも、十分な睡眠の確保は重要です。

集中力の低下

また、不眠はうつ病と密接な関係があることが分かっています。不眠が1年続いた場合、うつ病発症リスクは健康な人の40倍とも言われています。早めに睡眠薬の服用を検討し、睡眠リズムを改善することが大切です。

●デメリット

睡眠薬のデメリット

睡眠薬として広く使われているベンゾジアゼピン系のお薬は、依存のリスクがあるので注意が必要です。急に服用をやめると更に眠れなくなったり、不安やイライラが起きたりすることもあります。服用を中止するプロセスとして、徐々に量を減らし身体を慣らしていくことが必要なので、医師に相談して指示に従いましょう。

医師

また、ベンゾジアゼピン系などの睡眠薬には、ふらつきや脱力感が出ることもあるので、夜にトイレに行く場合など、うす暗い場所で転ばないように特に注意が必要です。オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬は、脳に存在するホルモンに影響する薬であり、自然な眠りに近いとされていますが、睡眠の質が変化するためか悪夢や変な夢を見ることがあります。

がん治療中に睡眠薬を使うときの注意点

つらい不眠を改善するために役立つ睡眠薬ですが、使うときにはいくつか注意点があります。睡眠薬を安全に使用するためにも、医師や薬剤師の指示に従うことが重要です。

●決められた量以上は飲まない

指示された用量を服用

睡眠薬を使用して思ったような効果を感じなかったとしても、睡眠薬を決まった量以上服用するのは副作用のリスクが高く、危険なのでやめましょう。睡眠薬は過剰に服用すると、転倒や健忘(記憶の一時的な消失)などの副作用が出ることもあるので、指示された用量を服用してください。

●市販薬で対応しない

市販薬

市販薬でも睡眠改善薬が存在し、ドラッグストアなどで手軽に購入できます。しかし、がん治療で服用しているお薬との飲み合わせの判断ができないので、市販薬は避けた方が良いでしょう。
また、市販の睡眠改善薬は、抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミン(アレルギーや乗り物酔いなどに使われる成分)の副作用を利用しているため、思ったように眠れないこともあります。がん治療で通院している場合は、主治医に相談して処方してもらいましょう。かかりつけの病院がない場合は、睡眠外来を行っている医療機関や心療内科、精神科で相談してみてください。

睡眠薬に頼らない!質のいい睡眠を目指すセルフケア

質のいい睡眠にするためには、生活習慣を整えることが大切です。夕方以降のカフェインや寝る前の飲酒、スマートフォンの使用は避けてください。毎日決まった時間に寝て、決まった時間に起き、朝日を浴びると生活リズムを整えやすくなります。

セルフケア

また「日中に問題なく活動できるなら、睡眠時間が短くても良い」と思うことで、寝なければならないという、睡眠に対するプレッシャーを軽減できます。重要なのは睡眠の量ではなく、自身が不安なく快適に過ごせるかどうかです。

いかがでしたか?
睡眠薬に頼らないのが理想的ですが、こころや身体がつらいときは上手に付き合って、大変な時期を乗り越えていきましょう。

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