春らしい日が多くなってきましたが、まだ外出には気を遣う毎日ですね。そんな中「この状況でも何かできることを」とスヴェンソンが2月20日(土)に企画・開催した講演イベント「がん哲学外来 メディカルカフェ」。今回はオンライン開催ということで、全国から患者さま、ご家族・ご友人、医療従事者など、157名もの方が参加されました。東海大学医学部教授の安藤先生と、がん研有明病院の清水先生、お二人の講演に深く頷き、メモをとり、ときに涙される姿も。開催の様子を前後編2回にわけてレポートします。
メディカルカフェは「対話的コミュニケーション」の場
東海大学医学部教授であり、同大学附属病院オンコロジーセンター長の安藤潔先生のお話からスタート。(安藤先生は一般社団法人がん哲学外来の理事も務められ、銀座メディカルカフェの顧問でもあります)
今回のオンライン講演で初めて「がん哲学外来」や「メディカルカフェ」という言葉を知ったという方へ向けて、がん哲学外来 メディカルカフェとは何か、なぜ必要か、実際はどのように行っているかをわかりやすくご説明いただきました。
その中で繰り返し出てきた重要なキーワードが「対話」。先生のお話しを聞くにつれ、日常的なコミュニケーションの多くが「対話」ではなく「会話」なんだなと感じました。
メディカルカフェはがんを罹患した方にとって、さまざまな人との「対話的コミュニケーション」の場。質問したり、考えたりすることで気づきや共感、安心感を得られる、そんな場所なんだという語りかけに納得し、とても大切なことだとこころに響きました。でも、そんなに上手く人と「対話」できるだろうか…不安を感じる方もいらっしゃるかと思いますが大丈夫です。対話をスムーズに進行するために、ガイド役のファシリテーターの方がサポートしてくださるとのこと。それなら安心ですね。
また、海外の事例なども紹介しながら現代の日本で社会的ネットワークが希薄になっている状況を見せてくださいました。ふだん目にすることのないさまざまな統計や写真資料をわかりやすく説明いただき、その内容に瞬きもせずに見入ってしまいました。
コロナ時代のがん治療について
安藤先生への質問では時節柄コロナに関するものが多く、その中でも「どのような、こころがまえで生きていけばよいか」「コロナですごく孤立している」という方が複数名いらっしゃったようです。安藤先生がその場で対面しているかのように画面越しに答えてくださったのは「確かにどこの病院もお見舞いをかなり制限している。入院すると人と会えなくなるため、入院したくないという患者さんもたくさんいらっしゃった。だけど最近は各病院がかなり工夫するようになって、こういったITの機器を使ってオンラインでの交流の方法も増えてきたので、ぜひ上手に活用してほしい」と力強いメッセージをくださいました。
また、「がん哲学外来についてもっと知りたいときにどんな本を読めばいいか」「今までで印象に残った小説などがあれば教えてほしい」という質問に対しても、書籍や作品を具体的に紹介しながら、ご自身の感想もまじえて答えてくださいました。
スヴェンソンの17店舗が、がん哲学外来メディカルカフェに登録
がん患者さんやご家族が抱える不安・悩みを解消したい、という思いのもと一般社団法人がん哲学外来が展開する「がん哲学外来 メディカルカフェ」。スヴェンソンではその活動に賛同し、開催のために店舗を提供しています。
そのスタートは2013年、新百合ヶ丘サロンから。現在は17店舗がメディカルカフェに登録しています。2021年3月現在、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、店内での開催は休止していますが、今出来ることから始めてみようと、対話の場の再開を目指してオンラインでの全国講演は今後も定期的に開催予定です!
次回は4月10日(土)にオンライン開催予定とのこと。参加者募集中ですので、ぜひチェックしてみてください。(開催告知はレディススヴェンソンのホームページに随時アップされます)
また、一般社団法人がん哲学外来のホームページでも、全国のメディカルカフェイベント開催情報がご確認いただけます。
●スヴェンソン主催の開催情報
https://ladys.svenson.co.jp/event/
●全国のメディカルカフェ開催情報
http://www.gantetsugaku.org/index.php
後編では「こころ」のあり方や変化について、がん専門の精神科医である清水研先生(がん研有明病院 腫瘍精神科部長)のお話と、次回4月10日(土)に開催予定のメディカルカフェについてご紹介します。
■安藤潔 先生
東海大学医学部教授・同大学附属病院オンコロジーセンター長
※銀座メディカルカフェの顧問も務められています。
■清水研 先生
がん研有明病院 腫瘍精神科部長
※今回の講演と同タイトルの書籍「もしも一年後、この世にいないとしたら。」(文響社)も出版されています。