~ がん患者さんの生活に役立つ情報 ~

Massel

~ がん患者さんの生活に役立つ情報 ~

ライフスタイル密着取材 YUKOさん
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プロフィール

娘さんが結婚して、家を出てからは旦那さんと二人暮らし。
最近移り住んだ鎌倉に魅了され、今やすっかり虜に。ボランティアや趣味のフラダンスなど、精力的に活動中。
取材時/乳がん。抗がん剤→手術→3週間に1回の通院

ライフスタイル密着取材 YUKOさん

自分の身体と会話しながら、ゆっくり生活するようにしています

野菜を選ぶYUKOさん

病気になってから勤めていた会社を退職して、今は専業主婦です。野菜とフルーツ中心の食事をゆっくり摂って、散歩して「疲れたな」と感じた時は少し休めば、寝込むこともないです。
副作用がほとんどないので、忙しく働いていた頃よりも、健康的な生活を送っています。変わったことと言えば、早く寝るようにしたことくらいかな。あと時間に余裕ができたので、家族のお弁当を毎朝つくるようになりました(笑)
主人の仕事の都合で鎌倉に移ってからは、毎日海辺や鎌倉の街を散歩しています。食べ物も美味しいし、神社仏閣が多いので四季折々のイベントもあって、こっちにきて良かったなって思います。
八百屋さんやお魚屋さんに通うと、顔を覚えてくれるのが嬉しくて。そういう地域の人たちとの触れ合いも楽しいです。

娘と料理をするYUKOさん

一人娘の挙式直前に病気が発覚。うわの空で迎えた晴れの日…

昨年11月に知人と検診の話をしていて、触った時にしこりを見つけて、次の日に病院に行ったんです。そしたら「早期だけど、たぶん悪性です」と言われて、精密検査で脇への転移も見つかって。
翌月の中旬から治療を始めました。今は薬が効いて小さくなってますけど、手術する予定です。
病気が分かった当初は転移が心配で自分から全摘をお願いしましたが、お医者様から「全摘の必要はなさそうです。そのための術前化学療法でもあるんですよ」と説明を受けて納得しました。
検査結果が出て治療方針が決まるまでの間に、娘の結婚式があったんです。
1年前から式場を決めてたから、これはもう出るしかないと覚悟を決めましたね。時期が時期だったから、うわの空で結婚式の記憶なくって…ハワイあたりでもう一回挙式してって、お願いしてるところです(笑)

親子のツーショット

主治医の丁寧な説明で抗がん剤治療を決意

抗がん剤治療、するつもりなかったんです。抗がん剤に対しての先入観が強すぎて…治療方針を受け入れ、実際に治療を始めるまでが一番辛かったですね。
それでも「やってみよう」と思えたのは、お医者様が術前化学療法のメリットや副作用のコントロールが進んでいることを、丁寧に説明してくれたから。一緒に不安に向き合ってくださったので、私も心を強くしました。
あとは髪が抜けるのも辛かったです。少し茶色で白髪もないきれいな髪が、ずっと自慢だったんです。
抜けてきてからは、もう開き直って「はやく抜けて、新しい髪生えてこい」って気持ちを切り替えました。体調はほとんど普段どおり。吐き気もなくて、むしろ食べ過ぎないように気をつけてました(笑)
治療を始める前に副作用が心配で色んなものを買い込んじゃって。加湿器とかジューサーとか、冬篭りするのかってくらい。でも抗がん剤を投与した次の日から普通に買い物に行けて拍子抜けしたのを覚えてます。

料理をするYUKOさん

ゆっくりできる「いま」は、神様からもらった時間

職場は退職という形をとりました。「休職でもいいんじゃない」と周りは言ってくれたんですが、私自身その時は治療のことしか考えられなくて。
治療が始まって3ヶ月目くらいに、副作用が思ったより軽いことが分かって「治療しながら働けたかも」と考えたこともあります。
最近は神様からもらった時間だと思って、今まで働いてきた分、ゆっくりしようと思えるようになりました。
今は前の仕事の関係でボランティアをしています。小学校や中学校で「命の大切さを考える授業」の講師をしているんですが、これからも続けていきたいです。
オリジナルで授業を考えて、グループワークしたりするんですよ。スクールアドバイザーとして、県内の学校を回って子供たちと触れ合うのが楽しいです。

ネイルを楽しむYUKOさん

たくさん勇気をもらったから、今度は私がお返しする番です

病気になってから、周りの人に検診の啓発はしてるんですけど…友人に「毎年検診に行ってるのに、なったの?」って言われてショックでしたね。
検診は予防じゃなくて発見するものだから、そこの考え方がまず違ってて。
「なんですぐ手術しないの?」とか「セカンドオピニオンしないの?」って簡単に言うけど、お医者様を探す間は治療が止まりますし難しい決断だと思います。
がんと言っても、治療方針や副作用も人それぞれで、本当に教科書通りにはいかないんです。
心配してくれるのはありがたいんですけど、患者にとって普通に接してくれることが一番いいんだなって感じましたし、そう考えると当事者しか分からないことがたくさんあるんですよね。

海を散歩するYUKOさん

病気になってから、サバイバーの方々にお話を聞いたりして、たくさん勇気をいただいたので、次は私がお返しする番です。
いま「命の大切さ」を発信するボランティアをしていますが、それ以外にもピンクリボン活動などに積極的に加わっていけたらと思っています。
私自身もそうでしたけど、治療方針が決まるまでの時間ってすごく不安だと思うんですよね。
そんな方々の力になれるように、病気に対しての正しい知識はもちろんですが、心理学やカウンセリングなども勉強していきたいと思っています。

取材時 2015年4月

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