スヴェンソンが2月20日(土)にオンライン開催した「がん哲学外来 メディカルカフェ」。後編はがん研有明病院の清水先生の講演内容と、次回開催の情報です。患者さま、ご家族・ご友人、医療従事者など、157名もの方が聞き入ったお話の内容とその様子について、後編もダイジェストでレポートしたいと思います!
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もしも一年後、この世にいないとしたら
後半の、がん研有明病院 腫瘍精神科部長の清水研先生のお話。まずこのタイトルに、ちょっと固くなってしまう方もいらっしゃるかもしれません。実際にご参加された方も「講演タイトルに驚いたけど、内容を聞いて自分なりに考えることができた」「そういうことなんだと理解できた」と感じる方が多かったようです。
清水先生は「がん専門の精神科医」として、20年以上多くの患者さんと向き合っていらっしゃいます。その中で4人の患者さんの実例を紹介しながら【がんを体験した後、こころはどういう道筋をたどるか】【死と向き合うこととはどういうことか】についてお話しくださいました。
20代で根治的治療が難しいと告知された患者さんの例では、生きる意味の喪失からその喪失と向き合うまでの過程を紹介。感情にフタをしないことの大切さ、怒りを無理に抑えようとしなくてよいということ、誰かの前で悲しみ泣けることはとても大事だということ、その結果として自分自身を変える作業に行きつけるということ、など精神科医の観点から教えてくださいました。
無意識の中で感情にフタをしたり、泣くのをがまんすることは誰にでもあるのではないでしょうか。それだけに清水先生の言葉の一つひとつにハッとさせられるものがあり、参加者の中には、途中涙を抑えきれない様子も見られました。
画面越しでも感じられた、先生方のあたたかさ
講演を聞いて、とても印象的だったのは、先生方がご自身のエピソードを飾らずに話してくださったこと。清水先生の「男は泣くもんじゃない、泣いちゃいけない!と思ってきたけれど、最近こころが解放され悲しいときは泣けるようになってきました」という言葉に、にっこり微笑む参加者も。また、「ちょっと恥ずかしいのですが……」と前置きをして、ご自身のライフサイクルについても教えくださいました。
清水先生は医師としてスタートした勤務初日 “これから医者として人の役に立っていこう“と思って現場に立ったものの、患者さんから「この先、長くない残りの時間をどう過ごしたらよいか?」と問われ、なんと答えていいか、どうしていいかわからなかったそうです。それは自分自身が「今」を生きてなかったと気づいたから。しばらく思いつめる日々が続きましたが、あるフレーズに出会いハッとし、そこから認識が変わったことを話してくださいました。あたりまえですが「先生」と呼ばれる立場の方も生身の人間であり、こころも経験を重ねることで変化されることを、改めて感じることができました。
お二人の先生について、お話の内容はもちろん、「あたたかい人柄が伝わってきた」という感想をもたれた参加者が多くいらっしゃったのも納得でした。
次回は4月10日(土) オンライン開催です!
多くの方が参加した【がん哲学外来 メディカルカフェ】のオンライン講演、「ぜひ続けてほしい」「次はこの先生のお話しを聞きたい」などたくさんの感想が寄せられました。そして、それに答えるべく、はやくも第2回目の開催が決定しております!今回はがん哲学外来の理事長である樋野興夫先生と、聖マリアンナ医科大学附属研究所の福田護先生、お二人にご講演いただきます。
お申し込み締め切りは4月3日(土)、参加はもちろん無料です。オンライン接続に不安のある方にはスタッフから手順を案内してもらえるので、ご興味のある方はぜひお申込みを!(お顔出ししたくない方はカメラに映らない様に参加できます)
第2回オンライン全国講演 『がん哲学外来 スヴェンソンメディカルカフェ』
開催日:2021年4月10日(土)
時間 :14:00〜15:30 ※Zoomの接続確認のため、13:00からお入りいただけます。
参加費:無料 ※通信費は自己負担となります。
【講演1】樋野興夫 先生
新渡戸稲造記念センター長
順天堂大学 名誉教授 同大学 医学部病理・腫瘍学 客員教授
一般社団法人がん哲学外来理事長
テーマ:『人格的出会い』〜小さなことに大きな愛を込める〜
【講演2】福田護 先生
聖マリアンナ医科大学附属研究所
ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック 院長
新百合ヶ丘メディカル・カフェ顧問
テーマ:『中学生・高校生を対象としたピンクリボンアドバイザーによるがん教育』〜これまでの歩みと課題〜
お申し込みはこちら
お問い合わせ:med.svenson@gmail.com
お申し込み締切:2021年4月3日(土)
人と直接会ったり、集まったりすることが難しい状況が続いています。けれどこの環境だから叶えられたものもあります。お二人の先生のお話に日本全国から157名の方が画面越しに向き合った、今回のオンライン講演もその一つではないでしょうか。
いま治療前〜中〜後の方、そのご家族の方、ご友人の方……すこしでも、チカラになれる情報を今後もお届けしていきたいと思います。
■安藤潔 先生
東海大学医学部教授・同大学附属病院オンコロジーセンター長
※銀座メディカルカフェの顧問も務められています。
■清水研 先生
がん研有明病院 腫瘍精神科部長
※今回の講演と同タイトルの書籍「もしも一年後、この世にいないとしたら。」(文響社)も出版されています。