市民公開シンポジウム
がん哲学外来
2016年4月16日(土)に開催されたレポートと動画を公開中。

精神保健指定医 日本精神神経学会専門医
「がん」という言葉を聞いて皆さん何を感じるでしょうか。医療者では「慢性疾患」だという人もいらっしゃいます。しかし、告知を受けた患者さんの2人に1人が精神疾患と診断されます。人は何か悪い知らせがあると2週間判断力が落ち、その後更に2週間経ち元の生活に戻るというのが半数の方がとる正常反応です。残りの半数の方は適応障害か鬱病になります。この鬱状態によって『治療をする』『しない』という意思決定が左右されることもありますし、精神的な判断に大きく影響します。医療者が患者に病状説明をする時は、水戸黄門の印籠みたいにべらべら話をして、その印籠の中に毒が入っていて患者が苦しんでしまう。僕は、医療者は喋らず、やっぱり聞くことが大事だと思います。そして一個一個、問題を一緒に整理して対応を考えて書き出してみる。これが一番わかるのは『ニーバーの祈り』の言葉にある「変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気を与えてください。変えることのできないものについては、それを受け入れるだけの冷静さを与えてください、そして変えることのできるものとできないものを見分ける知恵を与えてください」。私たちはこのお手伝いをする。がんは勝ち負けではなく「負ける」と思った気持ちの本当の意味は何なのか、それを一緒に考えること、人間の心は成長するものなのです。

がん幹細胞研究センター長 銀座メディカルカフェ顧問

Makeup Carist
川崎駅前 がん哲学外来・カフェ 世話人

一般社団法人 がん哲学外来理事長