care guide

抗がん剤治療による味覚障害への対応と口腔ケア指導の実践

抗がん剤治療の進歩によって、がんの長期的なコントロールが可能になってきた一方で、その副作用への対応が患者のQOLに大きな影響を与えることが明らかになっています。なかでも「味覚障害」は、患者さんが日常生活の中で感じるストレスの大きな要因のひとつです。何を食べても味がしない、苦味ばかりを感じる、金属のような味が口に広がるといった不快な感覚は、「食べること」そのものを避けたくなる原因となり、結果として栄養不足や体力の低下、さらには治療意欲の喪失にまでつながりかねません。
本稿では、味覚障害がどのようなメカニズムで生じるのか、その予防や対処の基本とともに、医療従事者が患者さんに対してどのように口腔ケアやセルフケアの指導を行うべきか、現場で役立つ視点から解説していきます。