がん治療の進歩と外見の変化
がん治療の発展により、患者の生存期間は確実に延長しています。一方で、治療に伴う脱毛、皮膚障害、体型変化などの外見の変化は避けられません。これらの変化は、患者の生活の質(QOL)に大きな影響を与える可能性があります。
アピアランスケアとは、
「医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、
外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア」のことを指します。
アピアランスケアは、国立がん研究センター中央病院の外見関連支援チームが2012年から
提唱している造語。
国立がん研究センターでは「がんやその治療に伴う外見変化に起因する身体・心理・社会的な困難に直面している患者とその家族に対し、診断時からの包括的なアセスメントに基づき、多職種で支援する医療者のアプローチ」と定義しています。
がん治療の進歩により、多くの患者の生存期間が延長されました。
しかし、同時に治療に伴う外見の変化が患者の生活の質に大きな影響を与えています。アピアランスケアは、がん患者の外見の悩みに寄り添い、自分らしく生きる力を支える重要な支援です。
医療者が適切な情報を提供し、患者が必要な時に相談できる体制を整えることが、今求められています。
がん治療の発展により、患者の生存期間は確実に延長しています。一方で、治療に伴う脱毛、皮膚障害、体型変化などの外見の変化は避けられません。これらの変化は、患者の生活の質(QOL)に大きな影響を与える可能性があります。
「がん患者が安心して暮らせる社会の構築」が政策目標となり、外見の問題への適切な支援が医療従事者に求められるようになりました。アピアランスケアの重要性は社会的にも認識されつつあります。
アピアランスケアは、患者の身体的・心理的・社会的側面を包括的に支援する重要な要素となっています。医師、看護師、薬剤師、心理専門家、美容専門家など多職種が連携し、包括的なケアを提供することが求められます。
適切なアピアランスケアは、QOLの向上に寄与します。
アピアランスケアを実践することで、がん医療の質が向上し、真の意味での患者中心のケアが実現できます。また、医療従事者がアピアランスケアに関わる意義は、「医療とは疾病の治療だけでなく、一人ひとりの患者の生活の質を高める“ケア”が求められている」からです。
がん診療連携拠点病院の現況報告(平成30年度)によると「95.0%の施設がアピアランスケアに関する相談に院内で対応」「平均25.3件/施設の相談件数」とあります。アピアランスケアが実際の医療現場で重要な役割を果たしていることを示しています。
アピアランスケアは、がん患者の生活の質を向上させ、自分らしく生きる力を支える重要な支援です。
医療従事者一人ひとりが、アピアランスケアの重要性を理解し、日々の診療や看護に活かしていくことが求められています。また、アピアランスケアを行える医療者の育成を通じて、患者が安心して治療を受けられる環境を整えることも重要です。
患者の悩みに寄り添い、心身両面からのサポートを提供することで、真の意味での患者中心のがん医療を実現できると信じています。
アピアランスケアに関する参照図書
「臨床で活かす がん患者のアピアランスケア(改訂2版)」(南山堂)
がん治療に伴う外見ケアの実践書。
最新のガイドラインやエビデンスを多数盛り込み、2024年にリリースされた改訂版です。
https://www.nanzando.com/