アピアランスケアの基本

basis

アピアランスケアとは、
「医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、
外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア」
のことを指します。

アピアランスケアは、国立がん研究センター中央病院の外見関連支援チームが2012年から 提唱している造語。
国立がん研究センターでは「がんやその治療に伴う外見変化に起因する身体・心理・社会的な困難に直面している患者とその家族に対し、診断時からの包括的なアセスメントに基づき、多職種で支援する医療者のアプローチ」と定義しています。

自分らしさを取り戻すために

がん治療は、脱毛や皮膚の変色、身体の一部の喪失、浮腫、体重の変動など、
外見に大きな影響を与えるケースがあります。
これらの変化は、患者の心理的な負担を増大させる要因となります。

社会生活で感じる困難や苦痛へ、多面的に介入し、QOLを改善しようとするのがアピアランスケア。

このページでは、アピアランスケアの基本方針を3つの要素でご紹介します。

アピアランスケアの基本
対象となるのは?

がん治療に伴い外見の変化が生じ、その変化によって身体的・心理的・社会的な困難を抱えている患者です。外見の変化の程度に関わらず、不安や悩みとなっている場合はケアの対象となります。
例えば、化学療法による脱毛で悩む方、手術痕が気になる方、皮膚の変化により日常生活に支障をきたしている方など、様々なケースが考えられます。年齢や性別を問われません。

アピアランスケアのアプローチ方法

外見への介入

がん治療に伴う外見の変化をケアするための支援です。

  • 医学的支援
    皮膚科や形成外科の治療、エピテーゼなどの補綴物の利用で、社会生活しやすい外見を目指します。
  • 整容的支援
    ウィッグ、メイクアップ、衣服の工夫などのアドバイスを行います。
心理的な介入

自己イメージの変化や心理的苦痛が表れやすくなる患者を精神的にサポートします。

  • カウンセリングによる精神的サポートを行います。
  • 自己受容を促進するためのグループ活動の機会を提供します。
社会的な介入

外見の変化により対人関係で生じる苦痛を軽減するため寄り添います。

  • 家族や職場への啓発活動を行います。
  • 社会的偏見への対処法を提供します。

具体的な外見症状と苦痛

症状とアプローチ事例

脱毛

脱毛は、がん治療の副作用としてよく見られる症状です。主に化学療法や放射線療法によって引き起こされます。患者の自己イメージに大きな影響を与え、心理的な苦痛を引き起こすケースが報告されています。

アプローチ事例

  • ウィッグや帽子の活用
    患者が自信を持って外出できるよう、ウィッグや帽子の活用情報を検討しましょう。
  • 心理的サポート
    脱毛による心理的な影響を軽減するために、なぜ脱毛を嫌だと感じるか聞き出すなど、カウンセリングを実施しましょう。
  • 患者の選択肢を尊重
    ウィッグや帽子の使用については、患者の希望を尊重し、無理強いしないようにしましょう。

手術痕

手術痕は、がん治療の一環として避けられない場合があります。患者の外見に大きな変化をもたらし、自己イメージに影響を与えることがありますので、感情に寄り添うことが大切です。

アプローチ事例

  • スカーフや衣服、下着に関するアドバイス
    手術痕をカバーするためのスカーフや衣服、傷に触りにくい下着の選び方をアドバイスしましょう。
  • 傷跡ケアの指導
    傷跡のケア方法を指導し、患者が自信を持って生活できるよう支援しましょう。
  • 患者の感情に寄り添う
    手術痕に対する患者の感情に寄り添い、共感を示すことが重要です。

皮膚の変色

放射線療法や化学療法によって、皮膚の変色が生じることがあります。これもまた、患者の自己イメージに影響を与える要因となります。

アプローチ事例

  • スキンケアのアドバイス
    皮膚の変色を軽減するためのスキンケア方法をアドバイスしましょう。
  • 化粧品の使用
    皮膚の変色をカバーするための化粧品の使用方法を提案しましょう。
  • 皮膚科専門医との連携
    必要に応じて皮膚科専門医と連携し、適切な治療を提供しましょう。

体重の変化

がん治療に伴う体重の増減は、患者の自己イメージや健康状態に対する不安を引き起こすことがあります。

アプローチ事例

  • 栄養指導
    体重管理のための栄養指導を提供しましょう。
  • 運動のアドバイス
    健康的な体重を維持するための運動方法をアドバイスしましょう。
  • 患者のペースに合わせる
    体重管理に関するアドバイスをひとりひとりの生活習慣やペースに合わせて行いましょう。

包括的なアセスメント

アピアランスケアでは、診断時からの包括的なアセスメントが重要です。

患者の外見変化に対する反応やニーズを理解し、適切な支援を提供するための基盤を築きます。

アピアランスケアの基本
患者とのコミュニケーションを
大切にしよう

患者の不安や悩みを理解するためには信頼構築が最も大切です。積極的にコミュニケーションを取りましょう。

アピアランスケアの基本
個別対応を心がけよう

患者一人ひとりのニーズに応じた支援を提供することが重要です。また、周囲と本人の意思が異なるケースもあるので、必ず本人意思を確認しましょう。

アピアランスケアの基本
継続的にフォローアップをしよう

患者の状態やニーズは時間とともに変化するため、定期的なフォローアップを行いましょう。その際、多職種で連携することが望ましいです。